床 雪天満
今年最後のお稽古。
短檠を用いて夜咄の趣向に致しました。
茶会や許状式、花の式等、充実した一年を終えることが出来ました。
心より御礼申し上げます。
有難うございました。
来年も宜しくお願い申し上げます。
*ギャラリーに2015年の思い出を少しだけ載せました。ご覧下さい。
茶箱席 其之一
蒟醤一式 黄交趾揃
六瓢図一式 染付揃 茶盌 唐津
茶箱席 其之二
松葉図一式 緑交趾揃
笹蒔絵一式 仁清写竹図揃
茶箱席 其之三
菊毛彫一式 七宝繋揃
黒箔蒔絵一式 道元様御歌より 濁りなき心の水にすむ月は波も砕けて光とぞなる
茶盌 高麗青磁 筒 天目釉 振出 硝子
19年目の三葉会茶会。
乙亥会は立礼席を担当しました。
夕ざりの会ということで、薄暗い照明の中、菜の花ろうそくを用いてお客様にお茶を差し上げました。
また、大寄せの茶会であっても出来るだけ一人一人のお客様と接したいという思いから
席を三つ設け、それぞれ一回で7~8名のお客様に入って頂く形をとりました。
通常、代表が亭主を務めるところですが、点前がお客様との問答を行うようにしました。
全員が亭主でもあるということです。
これは大きな挑戦であって、社中の皆様はこの日の為に沢山努力を重ねてこられました。
当日、どうなるだろうと見ていましたが、
それぞれの席で自然な会話がされていて
お帰りのお客様方からもとても嬉しいお言葉を沢山頂戴しました。
床 乙亥松
花 山茶花 野牡丹
茶会前最後のお稽古ということで、問答の特訓を致しました。
点前をしながらなので、点前の順序は完全に頭に入っていて、かつ自然に動けるようにしないといけません。
何十年のベテランの方も一年目の方もこれが出来るように練習しました。
あとは当日、一人でも多くのお客様に喜んで頂けます様に。
床 日々是好日
花 満天星 曙椿
昨日でも、明日でもなく、今日という貴重な日を大切に精一杯過ごすことの重要さを
教える言葉である
(作品を書かれた森さんの解説より)
前の週の「日新又日新」を受けて書かれたかのようにリンクしていますが、
勿論そういう意図でこの言葉を選ばれたのではありません。
このところ、乙亥会では
230名程のお客様をおもてなしする予定になっている12月の茶会に向けて、
一人ひとりが自己研鑽に努めていらっしゃいます。
点前の順序を文書に纏められる方や、3回、4回と反復される方
問答の内容に試行錯誤される方、家で復習に取り組まれている方・・・
皆さん、各回に目標を設定してお稽古に臨まれている様です。
その為、毎週非常に充実した、内容の濃いお稽古になっています。
「日新又日新」、からの「日々是好日」という作品のリレーも
こういった機運の盛り上がりを受けた自然の流れなのかもしれません。
茶会を良いものにする為に、その日のお稽古を大切に、
精一杯努力されている皆様の姿を
眩しく、頼もしく感じておりました。
床 日新又日新
毎日を新たな気持ちで、過ぎたことや先のことを心配せず、この日を大切に過ごすという意味です
(今回作品を書かれた新生さんの解説より)
今回の「日新又日新」という言葉は
殷の時代の言葉だそうです。
殷というと、紀元前17世紀から始まったとされていますから
果てしなく昔の言葉です。
その殷の湯王という人物が、洗面器にこの言葉を刻み付け、日々心を磨いていたといいます。
王様にも貧乏人にも、誰にでも等しく一日24時間が与えられています。
昨日の時間を取り戻すこともできなければ、明日の時間を今日使うこともできません。
ただ、今日の時間をいかに有効に使うか。
今日という日を大切に、感謝して過ごしていかなくてはいけませんね。
床 悟道
花 山茶花
香盒 滑車
お稽古では茶会に向けて茶箱の練習をしています。
悟の道。
誰でも道を歩いているのですが、
その道が見えない為に大きな道か小さな道か分からず
大きな道を歩いているつもりでも往々にして小さな道で迷っている人が少なくありません
(今回作品を書かれた松井さんの解説文より)
大象不遊於兎径
大きな象は兎の道で遊んだりはしません。
悠然と、心に余裕をもって大きな道を歩んでいきたいですね。
炉開きは茶道の正月。
いつも善哉をお出ししています。
今回は、4歳の娘に利休白玉を作ってもらい、一緒に召上って頂きました。
利休白玉は、小さな子どもが作るのに最適だと思います。
白玉粉に豆腐を少しずつ入れて
耳たぶの固さになるまでね
ねんどの時みたいに
コロコロちっちゃなお団子を作って
お湯が沸いたらお団子入れて
ぷかーっと浮かんできたら
スーパーボールすくいみたいに
網ですくいとって
氷水に入れましょう
ほぼ全ての工程を子どもだけでやることが出来ます。
大きさが少々不揃いでも可愛いものです。
床 継続は力なり
花 炉開椿
香盒 玄猪包
床は、井沢さんの「継続は力なり」
ご自身の、茶道や運動を中断してしまうことを
戒め、鼓舞する意味で書かれたそうです。
また、「開門多落葉」の軸が手に入りましたので
早速かけてみました。
この言葉は炉開に定番となっている禅語です。
聽雨寒更盡
開門落葉多
雨を聴いて寒更尽き、門を開けば落葉多し。
門を開くとは、文字通りの意味に加え、悟りを開くという意味でもあります。
(炉開きについては過去記事をご覧下さい)
床 拈華微笑
花 藤袴 猫髭
花入 経筒
今回の禅語は「拈華微笑」
土曜のお稽古に来られている小杉さんの作品ですが
前の週、渋谷さんに付けさせて頂いた庵名「拈華庵」と同じですが
ご本人はそのことを知らずにこの言葉を選ばれました。
あまりにタイムリーで皆様驚かれていました。
拈華微笑という言葉を聞くと、
私は渋谷さんのお顔が浮かびます。
いつもお稽古の時にご自分の畑でとれたお花やお野菜を持って来て下さるので
渋谷さんを見た皆さんが自然と顔をほころばせるのです。
ですから庵名もすぐに決まりました。
小杉さんの場合は、この言葉から9月に亡くなられた伯母様を想起されるそうです。
「マリアさま」と呼ばれるほどにいつも優しい微笑みに満ち溢れた方であったと。
私たちは厳しい禅の修行を積んではいないので、禅語の意味全てを理解することは難しいかもしれません。
でも、その禅語と身近な人を結びつけることによって
その言葉が活き活きと輝きだしたり、とても身近な存在になるということはあると思います。
花梨というと、母にとっては生家の庭に育っていた木。
その大切な木は、母の平家琵琶にも使われています。
今回、許状式を迎えられるお三方の歩みを振り返ることは、そのまま母の茶道人生を振り返ることでした。
主菓子として、花梨を用いた羊羹を作りました。
固まった羊羹をひっくり返すと、まるで磨いた石板のように艶々としていました。
これを切り分け、晴れの日のお菓子にすべく金箔を置いて
皆様に召上って頂きました。
戒―勇気 定―良心 慧―叡智
床 松鶴寿
花入 黄釉咋鳥文壷
香盒 柚子代々
赤白紙釜敷
風炉先 扇面散らし 金盃 滴々 知音
棚 末広棚 宗匠頭巾飾
水壷 染付山水 末広
茶器 文琳 備前
仕覆 紅牙瑞錦
茶杓 「筧」
茶盌「四方山」
茶「駿府の一」
菓子 花梨羊羹
器 亀型抜
点心「日本橋」
酒「絆」
薄茶
棗 中次
茶杓 「晴山」
茶盌 片身替
「清流」
蓋置 妙喜庵古材亀甲型
建水 丹波焼
干菓子 羽二重餅
同 三井の晩鐘
器 淡雪
まずは、今回許状を受けられた三人のなかの一人
渋谷宗孝さんの後記をご紹介致します。
床 喫茶去
花 時鳥
茶席の禅語として最も有名なもののひとつ
「喫茶去」
ですが、その意味には二通りの説があります。
一般的によく知られている
「どうぞお茶でも召し上がれ」
というにこやかに迎え入れる説
それを真っ向から否定する形の主張が
「喫茶しに行け」
という厳しく突き放す説です。
正反対のことを言っているような2つの違いは「去」の字の解釈です。
前者は「喫茶=お茶をどうぞ」を強調する為の助詞であるという考えの上に成り立っており
後者は動詞(句)+去で「~しに行く、~しに行け」という意味になるという、
漢語として一般的な使い方を採用しています。
あくまで個人的な考えですが
まあどうぞお茶でも、という意味であれば
「且座喫茶」という別の言葉がありますし
三文字の短い禅語といえば他にも
「看脚下(足元を見よ!)」や「惺惺著(目を覚ませ!)」「莫妄想(正念を起こせ!)」といった
弟子に喝を入れる警策のような役割のものが沢山あるように
この場合も弟子の問いに対してまだ機が熟さずと見て出直しを促す
「喫茶しに行け!」という意味合いの方が説得力があるように思います。
どちらの意味にせよ
茶を喫するという行為は
目を覚ます、迷いを断ち切るといった精神の動きと同義であるということです。
煩悩を失くすために茶道を始められる方はそう多くはいらっしゃらないでしょうが
お茶を飲んだ時にふっと心が軽くなったり、実生活でのあれこれを忘れてしまうといったことは
多くの方が経験済みであろうと思います。
それが茶道の魅力の一つであることは言うまでもありません。
床 夢
乙亥会を発足当時から支えて下さった青戸宗寛さんの祥月命日に因み、
床には「夢」を掛けました。
全員で青戸さんにお供茶をしました。
茶席では、夢の字は追悼の席に掛ける決まりがあります。
この世の全ては、実体のない夢幻のようなもの。
私たちは、身の回りの事物を、現実と思い込んで執着していますが、
目が覚めれば消えてしまう夢と同じなのです。
それなのに、それらに執着する。
それが”苦”の始まりであるというのが禅の考え方です。
胡蝶の夢という言葉がありますが
亡くなった方を心から偲ぶ時
私たちの意識は現実・非現実の概念を超えて自由に舞戯れていることでしょう。
床 秋天一一声雁
花 萩
床の「秋天一声雁」は
昨年の三葉会茶会で掛けたものです。
この字を見ると社中の皆様と美味しい濃茶を練る為に特訓した記憶が蘇ってきます。
木曜のお稽古では、社中の宇井さんお手製の上生菓子
「桔梗」と「菊」を頂きました。
上品な色合いがとても美しく味も格別でした。