10/22 許状式

戒―勇気 定―良心 慧―叡智

 

床 松鶴寿 

花入 黄釉咋鳥文壷 

香盒 柚子代々

赤白紙釜敷

風炉先 扇面散らし 金盃 滴々 知音

棚 末広棚 宗匠頭巾飾

水壷 染付山水 末広

茶器 文琳 備前 

仕覆 紅牙瑞錦

茶杓 「筧」

茶盌「四方山」

茶「駿府の一」

菓子 花梨羊羹

器 亀型抜 

点心「日本橋」

酒「絆」

 薄茶

棗 中次

茶杓 「晴山」

茶盌 片身替

   「清流」

蓋置 妙喜庵古材亀甲型

建水 丹波焼

干菓子 羽二重餅

同  三井の晩鐘

器 淡雪

 

 

まずは、今回許状を受けられた三人のなかの一人

渋谷宗孝さんの後記をご紹介致します。

 

 

十月二十二日、許状式の日を迎えました。

 

思えば宗景先生とは高校時代の、茶道部設立以来のお付き合いです。

結婚や子育てなどでブランクはありましたが、振り返ればいつの間にか四十年余り、

長いお付き合いです。

 

当日広間に入ると、新しい畳の蒼さと香りに、感激と共に、厳粛さを感じました。
後藤さん私、鈴木先輩と、今日 庵名宗名をいただく三人が並んで緊張感もピーク。

張りつめた空気の中、宗景先生、宗敦若先生からお名前を拝受致しました。

庵名は、これまでの各自の禅語の書からつけてくださったそうです。

 

清坐庵 後藤宗朋、    拈華庵 渋谷 宗孝、  歩歩庵 鈴木宗容

 

それぞれに素晴らしく、似合った庵名宗名に驚きました。

嬉しく大切にしたいと思いましたし、もう一人の自分が誕生した感じです。

 

長いお付き合いの中でこの様に 、緊張 感激する事があったでしょうか。

色々な思い出が、走馬灯の様に浮かび宗景先生の心配りや、

三人に対しての思い入れが痛いほど伝わってきて、涙なくしては過ごせませんでした。

 

また、高校時代から共に過ごした布川宗莉さんを除いて、宗景先生とお茶の事は語れません。

鈴木先輩も宗景先生の中学校の部活の先輩で、五十年余りのお付き合いです。

五十年余りと、四十年余りも続いた三人の絆とともに、

ここまで導いて下さった宗景先生には感謝感謝の気持ちでいっぱいです。

長いお付き合いの五人が一つの輪になり、益々心強く、また初心に戻った感じでもありました。

 

式の後は、乙亥会の皆様にお祝いをしていただきました。
銘酒『絆』で乾杯。

点心は大増の『日本橋』。

お祝いの席には、ピアノ、琴、琵琶、と華やかな演奏が続きました。
中立後は、小沼さんより送られた『駿府の一』でお濃茶を頂戴しました。

お菓子は宗敦先生お手作りの花梨羊羹。金粉の入った豪華な羊羹でした。
皆様からお祝辞をいただき、嬉しさがこみ上げてきました。


素晴らしい一日を過ごさせていただきましたが、頂戴した宗名を励みとして、
これからも精進して参りましょうと心に誓った三人でした。
                                                                                                            渋谷 宗孝記

 

一般的な茶道教室と異なり、

乙亥会では段階に応じていくつも許状を差し上げる形をとっておりません。

ただ1回のみ、機が熟した時に庵名宗名を差し上げています。

 

その方の長い茶道人生で一度きりのことなので、

それはそれは大きな節目となります。

ですから

こちら側としてもとても長い時間をかけて、

心を込めて準備をします。

 

 

今回は、40年、50年に渡って母と共に歩んできて下さった、三人の方にお名前を差し上げる運びとなりました。

私自身としては、今回初めて庵名を考える段階から携わらせて頂きました。

 

お三人のお人柄や、茶人としての佇まい、これまでの歩み、色々な事柄に思いを馳せた結果

それぞれがかつてご自身で選ばれた禅語の中に、各々を表すに相応しい言葉を見つけました。

 

記念のお品も、母との絆を表すものを用意しました。

こちら披露茶会で皆様にご覧頂くこととなると思います。

 

 

これまでずっと母を見守り、支えてきて下さったお三方には感謝の気持ちで一杯です。

今回の許状に関わらせて頂いたことを光栄に思います。同時に、当日沢山の社中の皆様と共に、この笑いあり、涙ありの晴れの日の喜びを分かち合えたことを

この上ない幸せと感じております。

 

これからも末永く、母と、乙亥会と共に茶道人生を歩んでいって頂ければこれほど嬉しいことはありません。

何卒宜しくお願い申し上げます。