掛物 管家 このたびは 幣もとりあへず手向山
紅葉の錦 神のまにまに
花 紫式部、茶の木
花入 青磁瓶子
香合 貝合わせ 上、北斗七星 下、水鳥 昭子作
釜 切合わせ
水指 釣瓶 名水点
茶碗 銘 将門 磁器 山田久子 旧蔵
銘 懐恋 児玉みなみ 造
茶入 肩衝 袋 花兎 昭子作
棗 老松
茶杓 銘 野本
建水 唐津
蓋置 黄瀬戸
茶 根本抹茶 詰 根本園
主菓子 甘酒まんじゅう 天野屋
干菓子 源平巻 豊島屋(としまや)
星の雫 紅白
菓子器 高杯
平家琵琶
屋久杉
酒 金婚上選 豊島屋(とよしまや)
寄付 妙見菩薩
九曜紋
北極星
書棚 神田明神将門様御神札
今回の花の式は、乙亥会の中では30代と若手の
小美濃さん。
テーマは何と、「平将門」でした。
卒論のテーマにされていたそうです。
流石、学生時代に研究されていただけあって
準備の段階から、次々と将門に因んだアイディアが浮かんでおられました。
普通は、花の式で趣向や道具組をすべて考えなければならない、となると、何をどこから、どのように進めれば良いか分からなくなって当然なのですが、
小美濃さんの場合はテーマに沿った青写真があって、
いかにそれに近づけていくか、という作業をしておられたようでした。
今回、お客様の印象に残ったのは、
将門公の人物像ともう一つ、
ご亭主自らお手作りの数々ではないでしょうか。
床の掛物から香盒、
源平の色でお作りになった干菓子…
中でも茶入の仕覆がお手製であると分かると、皆様から大きな歓声が沸き起こっていました。
裂は同じ土曜日に通われている谷さんから譲り受けたもの。
和裁をされていたとはいえ、
型紙から製作しなければいけない仕覆を仕立てるのには相当なご苦労があったと思います。
平将門に対する情熱と、茶道に対して真っ向から真摯に取り組む姿勢がお見事で
お客様も小美濃さんのパワーを分かち合われていたように見受けられました。
とても清々しい会でした。
ご本人による後記と、土曜の会にお正客として、久しぶりに静岡から駆けつけて下さいました小沼さん、
そして、偶然にも平将門が大好きという小杉さんのご感想を掲載させて頂きます。
初となる茶席のテーマは平将門公です。
最初からお道具については平安の武者らしい華美でない、ちょっと野暮ったいものを使いたいと決めていました。
例外として管家(藤原道真公)と茶碗銘 懐恋が華やかです。
それと手作りのものいくつかあります。
24日はお茶室に入ったとたん頭が真っ白になりました。
直前までは何ともなかったのに一気に緊張が襲ってきて
挨拶の後の句が継げなくなりました。
そんな始まりでしたが、優しく見守ってもらいスタートしました。
途中、私がまとめた年表を皆様にお渡しし、
ざっくりと見解をお話しさせていただきました。
後から興味を持ったや見てみたい、このような事を知っている等語ってもらい大変嬉しくなりました。
26日はスムーズに開始、同じように途中で年表をお渡ししました。
予想していた事ですが、ご正客様がかなりの博識でして、
ご意見たくさん聞かせていただきもう、さすがとしか言いようがありませんでした。
実はもうお一人将門公のファンの方がおり(式の二週間前に知りました)、
色々話したく我慢していたのでかなり時間をとってしまい少し反省です。
お茶を初めてから準備、本番含め様々な方に協力していただきここまで漕ぎ着ける事ができました。
感謝しかありません。ありがとうございます。
(小美濃昭子)
9月26日は社中の小美野さんの『花の式』
でした。
半年以上前から懸命に準備をなさっている
小美濃さんをみて、是非参加したいと思い、7月に静岡へ転居してからはじめて乙亥会を伺わせていただきました。
3ヶ月ぶりの着物でドキドキしながら先生のお宅に到着しますと、
「小沼さん、あなたお正客ですよ。」
と相変わらずの無茶ぶりをしてくださいます。
心の準備も整わないままオロオロとお茶室ににじり入りました。
入念な準備をしてむかえてくれた小美濃さんは、心憎いばかりの落ち着きようです。
菩薩のような微笑みに、スッと心がしずまり、このお茶会を思いっきり楽しもうと思いました。
そして、お献茶、会席料理、濃い茶、薄茶となごやかで本当に楽しいときを過ごせました。
心をこめたおもてなしにどっぷりと浸れた私たちは幸せ者ですね。
長い時間をかけてこの日をむかえた小美濃さん、水屋のお手伝いをしてくださったお姉様方、
素晴らしいお料理を持ち寄った皆々様、そして先生久々にお茶の世界に浸ることができました。
本当にありがとうございました。
(小沼久美子)
宗景先生より、花の式の感想を書いてね。
と言われた時、なぜ私?と思ったのはものの10分。
すぐにその理由がわかりました。
まず目に飛び込んできたのが平将門のお札。
おや?
その前の週に、私が高校生の頃からどんなに平将門のことが好きで、
そして、海音寺潮五郎の小説を読み始めたものの、別れが悲しく、最後まで読めなかった、と話したばかり。
先生や本日のご亭主さまは、今日のことを黙っているのにとても苦労をされたようです。
半世紀も生きていると偶然なのか必然なのか、不思議な引寄せを体感することがありますが、
昭子さんのお陰で久々に将門様に出会い、十代の自分を思い出し、心地よい気分で帰路につかせていただきました。
数学の時間に机の上に積み上げていた小説を先生が手に取りぺらぺらとめくり、
「面白いの?」と一言聞いて、何事もなかったように本を戻して授業を続けられたのを昨日のことのように思い出しました。
最後に、急遽古い大河物語を「平将門公ざっくり年表」に入れていただいて、ありがとうございます。
すてきな、記憶に残る花の式でした。
(小杉有子)
コメントをお書きください