6/25_27 逢瀬

床 空門風自涼 

香盒 螺鈿 星花

水壷 染付 手桶

棗 錫 替 丸銀河

茶盌 朝鮮唐津 源左衛門

替 平瑠璃釉 八木海峰

茶杓 銘 颯々 菱田賢治

蓋置 蟹 高岡銅器

建水 志野 寿扇

主菓子 水無月 宗敦

器 古唐津二点

干菓子 星の橋 豊島屋 そばせん すや

器 義山 短冊皿


服紗 鵲

点心 花扇大増

酒 ささにごり

  飛切り 天領酒造




土曜のお稽古では、

引越しの為、お稽古が最後となる小沼さんの為に
ご本人にはサプライズで送別茶事を行いました。


先ずは、

「小沼さんを茶人らしく、皆で送りたい」と

発案された、海老原さんの後記をご覧下さい。




床  空門風自涼(くうもんのかぜおのずからすずし)      鈴木容子筆
広間に斜めに敷かれた紺色の毛氈は天の川です。
 香合は、鼎に置かれた螺鈿
水指は、染め付けのたっぷりとした手桶。

棗はひんやりとした持ち重りのする錫。

茶碗は、今月の座学のテーマである、唐津焼きの朝鮮唐津。

茶杓は、竹に銀漆の掛けられた、銘「颯々」。

蓋置は、天の川に遊ぶ「蟹 」 (鈴木まどか氏所持) 

主菓子は、宗敦先生のお手作りの「水無月」です。


  半床庵(天の川席)を模し、

正客(彦星さま)次客(織姫さま)が左右に座し、

点前(鵲)と3名による和やかな鼎談の席となりました。

 

本日は、5月16日のブログを書かれた小沼さんの最後のお稽古でした。
皆から小沼さんへそれぞれの思いを俳句や歌にした短冊が、先生からは絵唐津茶碗、銘「早乙女」が送られました。
 再会を楽しみにする気持ちを七夕伝説になぞらえた宗景先生の床しいお心を感じた一日でした。
 故郷に戻られ農業をされる小沼さんご夫妻のご健康と、豊作を社中一同祈念しつつ、お稽古を終えました。
                            海老原 雅子

 

 

再会を夢見る七夕席で最後のお稽古を終えた後は、

海老原さんがご用意されたお弁当やお酒と共に皆で思い出を語り合いました。

 

私ども講師からは
引っ越した先でも茶道に通じて頂きたいという思いから

今月お勉強していた唐津茶盌の中で、小柄なご本人の掌にあう小ぶりのものを選び

ご本人が今月作られたお歌

田植え終え子らがかけよる桑苺
卯の花の咲き散る里に風わたり早苗を植える乙女にこぼれる

に因み、銘を「早乙女」とつけてお渡ししました。

 

 

また、普通の送別会であれば寄せ書きを渡す場面で、
各々がその方へと詠んだはなむけの歌を短冊にしたため、お渡ししました。

 

それは、俳句であったり、和歌であったり、また小沼さんが作られた俳句への付け句であったり。

毎週共に研鑽に努めてこられた土曜の皆様は勿論、

茶会等で一緒になる木曜の方々にも書いて頂きました。

下に掲載させて頂きましたが、どの作品からも小沼さんを慕う気持ちや、小沼さんの優しいお人柄が伝わってきます。











小沼久美子さんへ はなむけの歌



ゆうかざりみどりの友よ唄へよや春風源氏秋風平家   鈴木宗景


田植え終え子らがかけよる桑苺
    に付け句として
 蛙の合唱松風となり       

 共に集いし茶の学び舎も      
 稲に長影さざなむ水面     
 棚田の里に豊作祈り     


来年は遠征します田植えかな      
茶通箱愛しの人よ微笑んで故郷へ戻る紫陽花のころ   
にこまるの早苗そよげる君の里天の恵みの地に満つるらん  
乙亥会千里同風伝えあう      
おもしろき心や奥に抱くらむさらり覚悟の人とみゆれど  
梅雨あけにけいこ仲間が里帰り     
再会の時を思ひつ袖とほす次は袷か夏衣     
夫婦里命をつなぐ棚田かな      
突然の帰省の知らせ耳にして君待つ家と見送る友と
帰省知り別れを惜しむ勤勉な友と語らう小沼のほとり  
夏至過ぎて夫婦で歩む故郷かな  
赤鳥庵に応挙館空気張り詰め平曲茶会    
分かれ人共に喫せん一碗を天空の虹茶筅にからめ   
父母の待つあなたの愛する古里は大地のめぐみ桑苺あり  
年末でさわいだ友は横浜で     
空を見て元気をもらう笑顔かな     
あの笑顔家族を思ううみのいえ     



教室が始まって20年近くなりますが、
お別れの挨拶をすることも叶わないまま会えなくなってしまった生徒さんもいらっしゃいます。


今回のように、惜別や感謝の思いをご本人の目を見て伝えられるというのは何と幸せなことであろうと

実感せずにはいられませんでした。

茶道の基本、一期一会を皆が体感する、温かさに満ち溢れた会であったように思います。


そして、毎日自然と共に暮らすことになり、今より更に風流人となられる小沼さんに

次回お会いするのがとても楽しみになりました。

今後とも宜しくお願い致します。