10/30_11/1 第二十三回花の式


床   寿老人 久邇宮邦彦王妃俔子 

花   庭のもの

花入  辰砂釉

香盒  俵鼠 萩 鳥雲

水壷  銘「行雲」焼締 梶田一正

茶入  銘「毘沙門」義山 鍋田尚男

仕覆  毘沙門亀甲 鶴飾

棗   銘「日食」 輪島留塗 秋峰

茶杓  銘「千歳」

濃茶盌 銘「三宝」 大井戸

替   霊峰 黒楽 昭楽

薄茶盌 刷毛目沓茶盌 越前 後藤哲

替   干支 京焼 雄峰

蓋置  柿の蔕 天目釉 岩井純

建水  竹

濃茶  妙峰の昔 八女 星野園

薄茶  星の露 八女 星野園

主菓子 かるかん 鹿児島 明石屋

器   扇面鉢 徳力富吉郎

干菓子 黒糖そら豆 紫芋かりんとう

    甘夏みかん漬 鹿児島土産

器   蒔絵 重箱 惣兵衛

寄付  干支

 

 

懐石(11/1)

 

汁 合わせ味噌 巾着(里芋、鶉卵、人参、油揚げ、三つ葉)

向付 鯛昆布〆 菊花二種 生ひじき 胡瓜 かぼす酢

焼物 かじき西京焼

椀物 三宝煮(油あげ、板麩、大根、人参、大豆、芽葱、柚)

強肴 柿膾(大根、柿、胡瓜)

   春菊としめじのお浸し

   茄子、茗荷、獅子唐辛子煮

八寸 ししゃも 生ハム蕪挟み

香の物 大根漬 南瓜漬 蕪千枚漬

箸洗 またたび 針生姜

湯桶 米

酒 清酒「白鹿」

 


第23回となった今回の花の式。

長く土曜日のお稽古に通われている谷さんがご亭主を担当されました。


ご亭主の自然で、柔らかな雰囲気と滑らかな進行によって、

30日、1日の両日共にとても和やかな会となりました。


お正客様として御出で頂いた楢木野先生、弁天様として会の格調を上げて下さいましたまどか先生、

久しぶりにお茶事にご参加頂いた星野さん、

有難うございました。


そして何か月も前からご準備をされ、

亭主という大役をご立派を努められた谷さん、本当にお疲れ様でした。

有難うございました。


土曜日の会に参加された海老原さんの感想と、

谷さんの後記を掲載します。




 

秋時雨が庭の梢を湿らせる中、

星野さんをお正客にお迎えし、

谷宗恵さんの花の式が催されました。

 

お正客は裾に花芒、

肩口には淡雪が舞うような景色のお着物に

華やかな紅葉の帯を召されてのご来訪でした。

その凛としたお姿に身の引き締まる思いで席入りをしました。

 

床には、時を経た軸が置かれ、

風炉先の花梨の枝の上には、

宝船に乗られた身の丈数ミリの七福神が

据えてありました。

二尺程の木が大海うねりにも見える楽しい取り合わせに心が和みました。

 

お正客、ご亭主の淀みない挨拶に始まり、お軸が掛けられました。

 

それは、薩摩藩所縁の谷家伝来の品で、島津公女、久邇宮邦彦王妃俔子様のお手による『寿老人』でした。

格調の高いやわらかな色合いの図にしばらく見入ってしまいました。

 

懐石、炭点前を終えて、

後座はお正客によるお花入れがありました。

 

濃茶点前が始まると仄暗い茶室に弁財天と見紛うような宗景先生が平家琵琶を語られました。

幽玄に浸ったのち、薄茶へと続き、お終いとなりました。

 

お茶は八女茶、お菓子もかるかん、黒糖そら豆、紫芋かりんとう、甘夏みかん漬けなど、

薩州方面からの品々で、宗恵さんのお心尽くしでした。

 

今年お嬢様お二人がご婚礼を挙げられた宗恵さんの喜びに溢れたお道具組みでした。

 

厳しい季節の来る前の束の間、ご亭主の心のこもったおもてなしを頂き、満ち足りた気持ちで帰路につきました。

 

海老原雅子

 

 


二十三回目の花の式、

亭主をやらせて頂きました。


10月30日木曜は、

空高く澄みきった秋空の下で、

お正客様にはHisui Tokyo の

楢木野先生、

お客様には平家琵琶演奏家のまどか先生、

社中の皆様をお迎え致しました。


お客様には、待合でお待ち頂き、

蹲踞を使って頂く事になりました。


お客様と初めて顔を合わせる場なので緊張感で一杯でしたが、手桶を持ち出し、

手水鉢の水を辺りの木々や下草等に打ちますと、気持ちが落ち着いて参りました。

お水で心が浄化された気が致します。


土曜日は小雨となりましたが、雨音と葉から落ちる雫とが同じ効果をもたらしてくれました。 

お水の効果、再発見でした。

 

皆様を茶室に御案内し、御軸を掛け、献茶、供茶、懐石、炭手前と進行し、前座は終了しました。 


お正客様がお花を入れられ、後座の濃茶が始まりました。

御手前さんの肩越しに平家琵琶を奏でる まどか先生のお姿、松風の音、お茶の香り、

優雅なひと時を頂戴致しました。 

干菓子、お薄を召し上がって頂き、終了となりました。


今回は、御軸に寿老人の絵を選び、七福神が集うお席にしたいと趣向致しました。 

毘沙門天に見立てた茶入、福禄寿に見立てた茶杓、大黒天に見立てた香盆、

布袋尊に見立てた花入れ・懐石・椀物、恵比寿に見立てた向付、

そして弁財天はまどか先生と宗景先生です。


二日に渡っての亭主役、少々疲れましたが、

半世紀以上も家の隅に眠っていた御軸を知足庵の立派な御床に飾る機会を与えて下さった宗景先生、

本格的な懐石を作って下さった社中の皆様、有難う御座いました。 


皆様のご協力を得まして、無事終了する事が出来、感謝の気持ちで一杯です。


谷 宗恵