6/19_21 平成廿六年水無月作品集

床 忘筅

花 回り花

 

短冊箱の2回目です。

皆様の作品も出揃ったので

今回も名前を伏せて全て載せます。

力作揃いです。

 

 

五月雨に名を挙げたるや源三位せきれい謳うあおかえでかな
かる鴨の越す同じ日にひき蛙旅立つ不思議動物暦
オオカミの狛犬のキバ富士の頂
初夏なのにまだ雪景色赤城山
石像が見守ってくれる両神山
孫息子黒帯めざし日々はげむ笹舟流し勝利を祈る
ベランダのしきりに咲くは時計草この世の未来占ってみる
この佳き日美月を祝い架け橋に両家で集う紫陽花のころ
青梅雨や若葉の上のひと雫
夏がすみ岩にあぐらの野点かな
滝しぶきつるをたのみに浴びにけり
半夏生梅雨の晴れ間の白化粧
かまくらやみほとけの慈悲雨恵
梅の香のもてなし甘いにじり口
昼時につばめが告げる空模様
されどなお金色堂の寂けさよ思い溢れて輝きけるに
梅雨空にひびきわたりし声去りて香の聞こゆる光堂かな
新緑に芽吹ける松や橋がかり薄れる老松はにかみてなむ
梅雨空に若葉のいぶき命うけ
ひかれまじ川の堤に遊ぶ蟹
雨と虫お出まし前に草を引く
オフィスビルもっと脱ぎたしクールビズ
夢の中公園駆ける梅雨の犬
雨粒を食らいて肥える七変化
雨あがり光うるおう苔庭よ
巣立つトキ海を渡りていづこへか
降りしきるさつきの丘に夢の先
梅雨入りに香り立つ茶の一服や
天の川照り映ゆ水面に舟を出し櫂こぐ音は我が背と思ほゆ
ほととぎす君が鳴き音を覚へれば聞けども飽きずまたと待つかも
我がこころ移ろうさまはおかしくもありなぜか目につく紫陽花の色
かぞえればできないことはふえてゆくしぶとくいこうアカシアの花
紅をひき傘もバッグも色揃え華やいでいざ雨ふる街へ
雨上がりほのかに優し梅雨の月
もくもくと湧き続いてる積乱雲異常気象に心乱れる
梅雨空を見上げて思う年月よ
うれしやな六月六日初孫にお琴とお茶の稽古初め
立山に行った気分で映画見る春を背負って美しきかな
アナ雪に勇気もらってレディゴウ雨にも負けず自転車をこぐ
梅雨空に庭輝きて雨あがり蝸牛居て草抜き楽し
梅雨空や苗に花咲くミニトマトまんまる顔に夏は来るなり
天空の小田原城車窓より湘南の海立つは白波
葉のしずく音楽しみ夢えがき
一年の水無月祓晦なり
善哉で友と語らう京の旅
春日山原始林抜け鹿の群
白い手に香りただよう京の舞
雨こんこん水色のかさ買わなきゃね
じゃんけんぽもすぐ三さいおねさんだよ
子燕の勇気見守る園帰り
髪の色競う若者梅雨晴れに遥かブラジル高まる期待(折句「かきつばた」)
鈍色の空に火襷梅雨入る
銀座には同じ歩調の笑顔の母娘パフューム買うのヒスイはいかが
トロフィーはその姿しも灯台にして光は父母のみちびきならむ
受賞写メつゆの晴れ間にホーホケキョ
感謝の音たどたどしくも琵琶弾けば水屋で準備の宇井さん動く