1/23_25 水月

床 水月空華
花 太神楽椿

花入 鶴首

香盒 紫式部

寄付 水月観音 竹うそ切花入 牛蓋置

脇床 井戸「水月」

 

 

 

大乗仏教では般若経の「空」を

「諸法は幻の如く、焔(陽炎)の如く、水中の月の如く、

虚空の如く、響の如く、ガンダルヴァの城の如く、

夢の如く、影の如く、鏡中の像の如く、化(変化)の如し」

と十喩を列挙して説明しています。

つまり水月とは実体の無いもののたとえです。
 
また、空華というのも、眼をこすったりすると眼中に浮かぶ
泡のようなもの事で、
やはり実体無きものを表しています。
 
また水月に関して、禅門では、
一つの月が処々あらゆる水に映る事から、
あらゆる存在の絶対平等性をも示しているといいます。
 
一見異なることを説いているようですが、
あらゆる存在は絶対平等であることと、あらゆる存在は空にして無自性であることは同一です。ですから結局は同じ事ですね。

 

「水月の道場に坐し 空気の万行を修す」

とは

「色即是空 空即是色」

と言い換えられるかもしれません。

 

 

ところで、最近インターネットで

ある観音像の写真が

「クールすぎる」

と話題になっていました。

私もそれを見てあまりの美しさに目を奪われたのですが

その画像がこちらです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

如何でしょうか。

 

実はこの観音様、後から調べてみると

中国の水月観音像であることが判明しました。

アメリカのネルソン・アトキンズ美術館に所蔵されているそうです。

 

「水月観音」とは、三十三観音の中の一つで、特別な形像はないそうです。

観音菩薩の住処、もしくは降り立つ場所とされる補陀落山の水辺の岩に座して水中の月を見る姿を表したもので、

古来、心の浄化・水難守護を祈願する観音様。

人々の心を表す満月を映した水面を静かに眺めているとのこと。

 

日本では鎌倉の東慶寺が有名ですね。

 

お稽古の水月と、この画像が回ってくるのとがあまりに同時期で驚いたので載せてみましたが

改めて見てみると

全てのものに平等である全能の強さと、

実体が空であるという冷静さを見事に体現されているように思います。