1/7 親子でお抹茶を楽しむ会「初釜」

横浜のUmiのいえにて、第2回のお抹茶を楽しむ会を開催致しました。

(前回の様子はこちら

前回同様、沢山のお客様にご参加頂きました。

 

床 竹青松瑞色新

 

「たけあおくまつずいしょくあらたなり」

と読みます。

 

年が明けたからと言って、

竹が青くなったり松の色が瑞々しくなったり

ということはありません。

 

ただ、新年を迎え

こちらの気持ちが新たに、

晴れ晴れとすることで

竹や松、周りの自然も生まれ変わった様に美しく見える

という意味です。 

世界の景色は己の心次第なのですね。

 

その意味合いや、松や竹といったおめでたい植物が登場することから

初釜に相応しい言葉とされています。

 

 

花 結柳

 

結びの「むす」という言葉は「産す」「生す」と書くこともできます。

日本には産霊(むすび)の神という、天地万物を生みだす神様がいらっしゃいます。

柳の丸く結ばれた姿は、生命力の象徴でもあり、

旧年と新年を無事に結んでいくという意味も込められています。
また、結ばれた丸の形を太陽に見立て、一陽来復であるとか、

円満、平和をも意味していると言います。

 

こういった意味から

出産、育児のスペースであるUmiのいえで行う初釜には

まず結柳が欠かせないと判断しました。

 

通常茶道では結柳には青柳を使いますが

美しい真っ白な壁に映え、またお子様にも喜んで頂けるようにと

あえて金塗りの柳を用いました。

上には庭の椿の葉と、「難を転ずる」、南天をあしらいました。

 

 

脇床 水仙、水仙篭

 

とはいえ、花がないのは寂しいので
脇床に水仙を飾らせて頂きました。

庭の水仙はとても蕾が固く、とても当日咲いてくれそうになかったので

3日前に家の中に入れ、暖めておりました。

前日の夕方になってようやく花が開き、どうにか間に合いました。

花器には、水仙を美しく見せるためだけに作られた水仙篭を用いました。

 

 

茶入 文琳
茶杓 銘「不羈」久野輝幸

 

今回のお茶会で披露となったお茶杓。

重心が高く作られており、

点で支えるとゆらゆらと動くのです。

このバランスが大変絶妙で

お茶をすくった後、櫂先に粉がつくと

櫂先の方に傾いた状態で静止します。

そしてお茶をしっかりとふき取ると、またゆらゆら・・・ 

 

僅かな重みに影響を受ける繊細さ。 

ゆれている時の楽しさ

そしてこの融通無碍なデザインに心を奪われ、

是非今回のお茶会にと考えました。

 

点前の最後にあえて茶杓を片づけず、飾るように変更し

お客様には後から手に取って頂きましたが

小さなお子様からお母様方まで

「やじろべえみたい」

「こんなに軽いなんて」

と喜んで頂けました。

 

因みに

これを作られた久野輝幸さんご自身によるキャッチコピー

「飛べない茶杓は、ただの茶杓だ!」

から、

銘を「不羈」と付けました。

「不羈」とは、自由奔放で束縛しえないこと、

または才知が人並はずれてすぐれていて、常規では律しきれないことを意味します。

「羈」は手綱を意味しますので、手綱を必要としない自由な馬。

午年に初使いする意味も込めました。

 

 

 

茶盌 呉器 銘「敦盛」
替  鳥獣草花紋 柳迦

 

他には

「わび・さび・かわいい」

をテーマにした「茶ガール」というコンセプトから生まれた

お若い女性作家さんのお茶盌。(写真右)

2歳の娘が一目惚れして昨年購入したものですが

色々な動物が草花の模様で描かれていて

こちらも年齢問わず、特に女性のお客様から「かわいい」とご好評頂きました。

 

 

蓋置 七草図

 

お茶会があったのは1月7日。

七草粥の日です。

そこで、蓋置は七草の絵が描いてあるものを用いました。

1年にこの日しか使えないお道具。

皆様の前に出ることが出来て、心なしか表情が晴れ晴れとしているように見えました。

 

 

 

菓子 花びら餅 澤村美保作

 

何と言っても今回の主役は、

前回と同様、食育講座の澤村先生に作って頂いた

花びら餅です。

 

花びら餅は通常、

紅白の求肥を重ねてピンク色に見せるのですが

天然の色をということで、苺を生地に練り込んで作られました。

他にも、白砂糖を使わず、ビート糖を使われたり

牛蒡を煮るのにも砂糖を使わなかったりと

随所に澤村先生の食育のこだわりが込められた力作でした。

 

口に入れると

味噌と牛蒡といんげん豆の優しい味わいに苺の爽やかさが調和し

思わず笑顔がこぼれる美味しさでした。

普段、砂糖を大量に使った和菓子に慣れていますが

きっと本来の和菓子はこれくらいの甘味だったのであろうと思います。

 

お席でもその味わいとアイディアに皆様感動されていました。

1歳のお子様も中の味噌あんをなめてニコッと満足気でした。

 

お菓子の美味しさのお蔭もあって

お抹茶も同じく1歳のお子様からゴクゴク飲まれていました。

もちろん小さなお客様には通常より薄めたものをお出ししましたが

はにかみながら「おいしっ」と言って頂けるのは何物にも代え難い喜びです。

 

 

第1回のお茶会では

何より育児を頑張られているお母様方に

少しでも安らぐひと時を提供したい

と考えておりましたが

 

今回はそれに加え

少しでも茶道に親しみを持って頂けたら

という思いも込めた席作りを致しました。

至らない点もあったかと存じます。

今回の反省も活かし、より皆様に喜んで頂ける会を作っていきたいと考えております。

 

前回に続き、このような機会を下さった

Umiのいえ代表の斉藤麻紀子さん、

澤村美保先生

スタッフの皆様

来て頂いたお客様

そして手伝って下さった乙亥会の皆様

 

本当に有り難うございました。

 

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