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床 円相
花 雪柳照葉 小菊

花入 青華園

香盒 猩々 九谷

 

床は、夏からお稽古を始められた小寺さんの最初の作品です。

円相には様々な意味が込められ、また見る人によっても様々な解釈を与えるものです。

 

十牛図では8番目の「人牛俱忘」が円相の形をしておりますが、

小寺さんがこれを描かれた心境では2番目の「見跡」なのだそうです。

前提に引っ張られることなく、ご自身を冷静に分析されています。

 

茶道の所作は円で構成されています。

円の形は、周りの空気に和することです。

小寺さんがその場にいらっしゃると周りに笑顔が生まれて和やかな空気になります。

「円」、「和」を体現されているからこそ選ばれたモチーフですね。

 

 

 

 

 


香盒は、その小寺さんの為に猩々を選びました。

 

猩々とは・・・

 

(1)オランウータンのこと。または、オランウータン・ゴリラ・チンパンジーをさす。
(2)中国の、想像上の動物。猿に似ているとされ、人の顔と足をもち、人の言葉を解し、酒を好むという。日本では、赤面赤毛とされている。
(3)酒飲みの異名。
(4)能の曲名
 
三省堂 大辞林より

 

「もののけ姫」の映画にも

大きなチンパンジーのような「猩々」が、森の賢人として登場します。

 

ただ、香合の写真を見て頂ければお分かりの通り

今回の猩々は(4)です。

 
 
能の猩々は、
もののけ姫の、森に住むのとは違い、海から出てくる妖精(?)なのだそうです。

 

 

むかし、潯陽江(揚子江)の傍らにある金山に、

親孝行者の高風という男が住んでいた。

高風は市場で酒を売れば多くの富を得るだろうという、

神妙な夢を見てお告げに従い市場で酒を売り始める。

酒売りは順調に進んだが、毎日高風の店に買いに来る客の中に、

いくら飲んでも顔色が変わらず、酒に酔う様子がない者がいた。

不思議に思った高風が名前を尋ねると、

自分は猩々と言う海中に住む者だと答えて立ち去る。

そこで高風は美しい月夜の晩、川辺で酒を用意し猩々を待っていると、

水中の波間より猩々が現れる。

共に酒を酌み交わし、舞を舞い踊り、

やがて猩々は高風の徳を褒め、泉のように尽きる事のない酒壷を与えて帰ってゆくのであった。

 

wikipediaより

 

この演目で

役者の面や装束が鮮やかな赤色・緋色のため

猩々緋という色名も生まれました。

赤みの強い赤紫色で、戦国時代は信長や秀吉の陣羽織に用いられ、

それは圧倒的な存在感を放っていました。

 

赤みのあるものには「猩々」がついていることがあります。

猩々袴に猩々蜻蛉、猩々朱鷺…

そして「ショウジョウバエ」。

目が赤いこともありますが、お酒に集まる性質があるから名付けられたのだそうです。

 

あと

「猩々木」というのもあります。

この時期よく見かける葉の赤い樹木といえば・・・

 

 

 

 

クリスマスに欠かせない

ポインセチアのことなのだそうです。

 

 

 

赤を表すことば、「猩々」。

勉強になりました。

 

この時期忘年会等楽しくお酒を飲んで

顔が猩々色になっている方も沢山いらっしゃることでしょう。

 

 

ちなみに

母は、楽しいお酒とおめでたいイメージから小寺さんに相応しいと考えたとのこと。

決してお猿さんのようとか、顔が赤いということではありません。

悪しからず・・・