1/24_26 The moon without the clouds is boring

床 無心大道に帰す 堺南宗寺吹毛軒硯應

花 土佐水木 侘助

花入 竹一重

香盒 交趾柘榴

棗 珠光棗

銘「月も雲間のなきは嫌にて候」

寄付 奈良秋草道人歌二首

菓子 薬師寺土産

 

今週から珠光について学んでいます。

 

高校の文学史でも

「茶道は珠光が開山し、紹鴎を経て、利休が大成した」

と習う、茶祖としてあまりに重要な人物です。

珠光の父は検校。

検校とは盲官の最高位でありますから、茶道と平曲との接点はここから始まったのかもしれません。

 

 

『月も雲間のなきは嫌にて候』

 

「茶」が「茶道」に格上げされたのには、珠光が「禅」の精神を茶に加えたことによるものです。

珠光は一休に禅を学びました。

一休は、先週学んだ大燈国師に強く惹かれた人物で、非常に風変りな僧でありました。

 

道を説き、禅を説くということが嫌い。

もっともらしい人間が嫌い。

抹香臭いのが一番嫌い。

 

(それでいながら弟子達をとても大切にし、今でいうファンも多かったようで

応仁の乱で焼失し、衰退しかけた大徳寺に一休が住持となったことで

浄財がたくさん集まり、寺を救うこととなります)

 

権威や名声をとことん嫌がる一休。

その性格を思うと、珠光のこの名言は一休の言葉と思っても自然な程、

珠光が一休の影響を色濃く受けている様が想像でき、楽しくなります。

 

 

ちなみに、経験談ですが、

この言葉、外国の方にわびさびについて説明するのにとても有効です。

 

装飾を省いた方がいいことは説明できても、

「欠けの美」ついては、そのまま説明しようとしても

日本人ですらなかなか理解し難いものがあります。

そもそも外国では竹すらも身近ではなかったりしますから。

それに比べて月は世界共通です。

 

私は大学でイギリスの先生にこの言葉を紹介したところ

とても分かりやすい例えだと喜ばれました。

 

 

外国の方にも理解できるほど明快なこの言葉は、能楽、蓮歌等、当時の様々な芸術と共鳴し、

中世の文化はこの後発展していくこととなります…。