10/11_13 時鳥草

床 無辺風月 足利紫山

青磁 銘「薄氷(うすらひ)」丸香台飾

時鳥草 紅白水引

 

お稽古は先週に続いて菊総飾です。

 

 

ところで。

卯月鳥。

早苗鳥。

魂迎鳥。

死出田長。

 

これは何を表すかご存知ですか。

 

蜀魂。

田鵑。

杜鵑。

杜宇。

子規。

不如帰。

時鳥。

 

もうお分かりですね。

これらはすべてホトトギスの異名、もしくは漢字表記です。

中国から伝わった名前に、鳴き声からつけられたもの等

これほど表記の多い鳥も珍しいです。

 

鳴き声といえば

ホトトギスという名前自体が

「ホトホト」という鳴き声に

「カラス」や「ウグイス」と同様、小さい鳥を表す「ス」をつけたとされています。

 

この特徴的な囀りを、

江戸時代では

「本尊かけたか」

「産湯かけたか」

「天辺かけたか」

などと表し

戦後になると

「特許許可局」

とも言われるようになりました。

 

歌に詠まれるようになったのは万葉集から。

夏の渡り鳥ですので、橘や卯の花とともに詠われることが多かったそうです。

 

鳥のホトトギスは夏ですが、花のホトトギスは秋を代表する野花の一つです。

 

斑点のある花びらが、ホトトギスのおなかにある模様と似ているためこの名前があります。

また、若葉に油染みのような斑点があるので、ユテンソウ(油点草)の別名があります。

 

名前や鳴き声の表記が沢山あり、

見た目からは花の名前になり

いかにホトトギスという鳥が古くから日本で愛されてきたか分かります。

 

因みに、ホトトギスといえば

「鳴かぬなら~ホトトギス」

が有名ですが、

それぞれ本人が詠んだものではなく、江戸時代の随筆に書かれたものです。

 

一説には、あのホトトギスは前田利家を表しているのだとか。

真相はわかりませんが、それだけホトトギスが身近な鳥であったということでしょう。