手製和菓子帖(其の五)―竜宮―

8/29は平曲のお客様が見えてのお茶事でした。

当然設えは平家尽くし。

それに際し、お菓子は「竜宮城」という銘で作って欲しいとの要望を受け

練り切りに初めて挑戦しました。

 

表面の文様について。

竜宮城に因み、亀(亀甲紋)にするか魚(鱗紋)にするか迷ったのですが

三つ鱗は桓武平家の替紋というのを知り、そうしました。

ちなみにこの三つ鱗は正三角形であることが必要で、

頭のつぶれた二等辺三角形になると北条鱗という、北条家の紋になるのだとか。

 

これもちなみにですが、江の島に三つ鱗紋はそこかしこに見つけることができるそうで

これは平家でも北条家でもなく、弁財天のご神紋とのこと。

こちらのご神紋の場合は三つ鱗と波がセットになることも多いそうですが

一応琵琶繋がりということで。

 

 

今回は練り切りを水色と白の2色にし、黄身餡を包みました。

黄身餡で表したかったのは海神、竜神のおわす竜宮の神々しさです。

普通の黄身だけの色では何とも素朴過ぎるというか、少し着色しても良かったかもしれません。

 

肝心の出来栄えですが

何せ独学で「簡単に作れる~」といった類のレシピ本を見ながらであった為

イメージとは程遠く、とても不恰好なものとなってしまいました。

後日少し本格的な技術本を取り寄せたのですが

2色の練り切りを突き合わせる方法から間違っていたようです…。

 

お客様には見た目、味共にとても稚拙なものを召し上がって頂くことになり大変失礼致しました。

次回お越し頂く際にはもう少し見栄えの良い、美味しいものを差し上げられる様精進致します。

 

 

 

そして最後に

 

今まで黙っておりましたが 

黄金に輝く神の棲家に、波が鱗と同化するイメージ…

 

 

数日前にテレビで見た「崖の上のポニョ」の影響を受けたことをここに白状致します。