床 一花一情
花 竜胆 白紫式部 金水引 莎草 虎の尾
花入 有馬籠
香盒 双花螺鈿
水壷 芋頭
棗 灰形山
茶盌 萩図二種
菓子 萩
器 唐津 中里太亀
花入と棗について。
温泉で知られる有馬には灰形山という山があります。
秀吉の茶会において利休がこの山の形で風炉の灰を作ったことに由来します。
床の色紙は「花への思いやり」の意味で実体験に基づいて書かれたそうです。
それに因んで今回のお稽古で使ったある花に注目してみました。
それは主役の竜胆でも、白紫式部でもなく、一番目立たない草花です。
「莎草」
難読語辞典にも載っているこの字は、「カヤツリグサ」と読みます。
「蚊帳吊草」とも書きます。こちらの方がはるかに読みやすいですね。
写真では細い葉が垂れ下がっているのが見えるかと思います。
花穂を見ても葉を見ても、「美しい」とは言い難い
一見ただの雑草のように思えてしまうのですが
何故これが「蚊帳吊草」なのか。
すぐに折れ曲がる弱い葉からも花穂からも蚊帳を吊るイメージに結びつかないのです。
調べてみると。
「三角形の茎を両端から90度違えて裂くと四辺形が出来、これを蚊帳(かや)を吊ったのに見立てて名付けられた植物 」
とのことでした。
よくよく茎を見てみると、確かに断面が三角形をしていることが分かりました。
実際にそれぞれの角から裂いてみると、四角形が出来て蚊帳吊の形になりました。
名前の由来は茎だったのですね。
葉からも花からも想像がつかなかったのは当然でした。
このカヤツリグサ、目立たない存在ですが「カヤツリグサ科」としては大変大きな科だそうで
全世界で70属3700種もあるそうです。
その中で一番有名なのはあのパピルスです。
見た目があまり美しいとは言えないと書きましたが、
小ぶりの「姫蚊帳吊草」は線香花火に見えることから別名「水花火」とも言われているそうです。
そう言われると写真の蚊帳吊草も何だか花火のように見えてきました。
ただの雑草と言われる草でも調べてみれば「一花一情」
愛着が湧いてきました。
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